ドゥカティ750S イモラ・レーサー 1/9 プロター改造
思い出話のような 
さて、1年以上前のドカティ・イモラ製作記を、撮った写真を見て思いだしながら書いてみましょう。
なにせ、年寄りで記憶が定かでないことと、写真も撮っていないものも多くて、あやふやだが、それはお許しいただきたい。
イモラ・レーサー作りの経緯
ここのP.スマートのドゥカの写真を見たときには驚いた。
イタリアのドゥカの博物館かなんかで、磨き上げられて鎮座しているものだとばかり
思っていたから、こんなに錆び汚れてくたびれた姿なんて想像もしていなかった。
何時か作りたいなとは思ったものの、イタ車はあまり興味もなかったし、知識もない。
しかもドカ、特にイモラは熱烈なファンもいるしちょっと逡巡したことは事実だ。
でも、プロターのDUCATI 750 SPORTSがなかなかよく出来ていそうなキットだっ
たし、プロヴィーニさん追悼という一念で、取り掛かった次第。
製作期間は2005年の8月後半ぐらいから、2006年の3月まで掛かっているから半年
以上の労作ということになるんだが、休み休みだったから実質的には3ヶ月ぐらいで
作った見当だろう。
写真の日付を拾って正確な順序で見せることも、今となってはあまり意味がないので
ここでは各ブロック毎にまとめてお見せしようと思う。

ENGINE (エンジン関係)
エンジンは言わずと知れたL型2気筒。
この空冷フィンが厄介だ。プロターのパーツを使うなら
話は別だが、それは論外。
図面を引く。後部フィンは簡単だが、前気筒の縦フィン
の組立方法がどうにも難しい。
結局、まず地面と水平なフィンを全幅で作り垂直フィン
をそれに直角に作ることにした。

アルミ0.3mmと0.6mmの組み合せで貼りあわせたもの。
後のプロターパーツに比べると大分いいが、果たして
巧くL型が作れるかはこの時点ではまだ怪しい。

クランクケースは中々よく出来ている。
前部フィンが浅いので、プラ板を薄く切って貼り付けて
いる。(このあたりは模型棚吉田さん風だな。(笑))
ベベルギアカバーや、クランクケースカバーは、この
エンジンの肝ともいうべき顔ですのでZIPP齋藤さんに、
キャストをお願いしたよ。
また誰かにずるいと言われそうだなあ。

補機類をつけて仕上げに掛かっているところ。
ダブル・イグニッションのデスビ・カバー?は自作。
写真見ながら作ってるので、実物はよくわからないが
こんな形状のものだろう。
有名なデスモドローミックのパイプはアルミ・パイプ
2.6mm。こういった部分はどんどん金属に置き換える。
ヘックスナットも0.6とか0.8ぐらいのパイプを切って、
埋め込むのがいいね。

私の汚しは、既にこの状態から、どんどん遠慮なしに汚して
いるのが分かるね。
組み上がってからでは無理ということもあるが、実は
作っている内に勝手に汚れていくということもある。
金属は錆びるし・・・ってそれは大嘘。

キャブもキャストしてもらったものに、自作のファンネル
を組み合わせて、それらしくね。

そして左右クランクケースを付けて一応格好になった。
汚いねえ。でも実感たっぷりだねえ、と自己満足。
このドカティ・ロゴに墨入れがいいな。
これがやりたいばっかりに、P.スマートの機体でなくB.
スパッジアーリにしたといういきさつは内緒話だよ。

それにオイル・ライン、ダブルイグニッション、タコメータ、
スロットルケーブルを配線するとこんな蜘蛛の巣状態。
ああうざったい。

WHEEL & DISK BRAKE, etc. (ホイールとディスク・ブレーキなど)
リムは、言わずと知れたコスモズ製18吋40穴。
1/9はこういうパーツを作ってくれているパーツメーカー
に感謝だな。1/8は何にもないからねえ。
ホイールを作るにはまずハブを作らなくちゃいけない。
それと実車写真を見たときから「ウーン」と唸っていた
スカラブ製の前輪ダブル・ディスク。
ハブに受け皿があってそれにかなり深さのあるディスクが
付いている状態。キットはシングル・ディスクだし、深さも
ないので全く使えない。
まあディスクは後で考えるとして、取り敢えずハブとプレート
とドリブン・ギアを作ってスポークを組み上げることに。

例によって簡単な治具を作り、ニップルを約1mmパイプで、
スポークは志賀昆虫のNO.3で組み上げる。
こんな作業でも、どうも私の粗っぽさがでるねえ。
1/9なのにMADの1/16より何か汚らしい。(笑)
でも、私は私と開き直って前に進みますよ。
今更反省しても作風が変わるわけじゃなし、変えたいとも
思っていないんだから。

タイヤに関しては、キットのものがDUNLOPのTT100によく
似たパターンだったので、そのまま使用。
でもサイドのブロックが邪魔なのでやすりで削り倒す。
削って削って削って削って削って削って削って・・・・。
そして嵌めてみるが、なにか座りが悪いなあ。
リムとの相性が悪いのか、真円にならないよ。困ったな。
この状態では旋盤加工もできないし・・・・。
ディスクは図面を引き、2枚を組み合わせる方法で製作に
かかったんだが・・・。
ホルダー部分を折り曲げて平らなディスクに4ヶ所で接着
するというやり方。これがその写真ね。
でも、これではうまくいかなかった。
接着面積が少なすぎて、その後の旋盤での真円出しや磨き
でポロッと取れちまう。
仕方なく、デスク・プレートから4本足を出し、ホルダー
部分を抱え込むという方法に製作方法を変更。
何とか巧くいきました。
リアディスクも作って、磨いて光らせてそれらしくね。

でき上がったホイールにディスクやドリブン・スプロケット
を組み込んで、ほぼ完成。
エンジン同様、この状態で既に汚しているというか汚れて
しまうんだね。
手を洗ってないのかなあ。(笑)

この写真ではよく分からないだろうが、このダブル・ディ
スクの幅は相当ある。
幅の浅いシングル・ディスクを使うキットのフロント・
フォークでこの幅がクリアできるのかな??と疑問を抱き
つつ前進。

FRAME & FOLK (フレーム&フォーク)
さて順序は大分前に戻るが、フレームの加工だよ。
フレームは大きな変更点はないんだが、
フロントのダウンチューブをストレートに下ろすこと。
それを上部フレームが囲むように加工し直すことが、
まず
第1の変更点。
第2は、後部のラウンドして繋がっているパイプをカット
してショックアブソーバ上部に補強パイプを入れること。

第3は左サイドのマフラーステーをカットすること。
左はアップマフラーになっているからね。

第4は修正ではないが、よく目立つバッテリー受けを
アルミ薄板で作って同色で塗れるようにしておく必要が
ある。

そして最後の加工がカウル止めのステーを作って、前部の
フォークブラケットに装着すること。

このレーサーのカウリングは前部とスクリーン脇、そして
クランクケース左右からのステー計5ヶ所で止めるように
なっている。(大体クラシック・レーサーはその5ヶ所が
多いね)
カウルを作る時間的余裕も技術もないので今回はあきらめ
なんだが、このスクリーン脇のカウル・ステーはちょっと
したアクサントなので、一応作っておきましょう。
そういえば、コスモズの千田さんがカウル作っているなん
て言ってたけど、どうなったかしら?
そんな訳で簡単にでき上がったように見えるが、実は大問題
が発生していたんだよ。
それは、例のダブル・ディスクの幅の問題。

エンジンのところでも書いたように、取り掛かる以前にキットを
チェックして、プラより金属に置き換えたいなと思うパーツを
湘南の若い友人ZIPP齋藤君にお願いしたのだが、その中には
当然フォークのボトムケースそしてブリッジが含まれていた。
この(キットそのものの)ブリッジを拡げなくては、ホイールが
嵌まらない!
計画性のない私はこんなミスはよくあるなあ。(笑)
仕方なくこんな風に3ヶ所で切断。
そして要らないパーツを半田で溶かして間を埋め、盛り上げて
再度削りだして、やっと正しい幅にすることができた次第。


TANK, SHEET & OTHER PARTS (タンクやシート、他の部品)
自作パーツなどの製作だ。
作った順序からいくと、まず左右のマフラーだね。
これはエンジンとフレームとの取り合いがあるから、早めに
作っておかなくてはいけない。
今回はメガフォン部分はキットパーツを利用。
リバー・スコーンはアルミ薄板(0.3mm)を巻いて作る。
水平前気筒に合わせる右側マフラーは、前部をアルミ棒で、
中間は擦り合わせ加工の容易なプラ棒で作って、繋ぐ。
後部シリンダーは特徴的なアップマフラーなんだが、この
角度が微妙で、意外に難しかった記憶があるね。
見る角度によっては、それらしく見えないので何度も調整を
繰り返し、まあまあのところで終わりにする。

よく分からなかったのは遮熱板の穴。
Pスマートの機体写真では取れているし、スパジアーリの
写真は小さくて見えない。
他の機体では横長穴あり、普通の丸穴ありで最後まで不明。
もちろん、簡単な丸穴にしたけどね。


はオイルクーラーだ。
これも早めにフレームに取り付ける関係があるので、先に 
作らなくてはいけない。
これは前々作KZ1000でやったように、アルミ板の積層で簡単に 
作れるので楽勝だね。
図面を引き、0.3mmと0.6mmアルミ板を切りだして積層する。
芯にする1mmの洋白棒がそのままオイルラインになるな。
冷却穴が空いた左右のカバーを作れば完成。

さて最後の大物はタンクとシートだが。
これは形状も複雑だし、タンクにはFRPの窓が開いて
いるし、何より銀フレークの塗装が厄介なのが目に見えている。
私の模型製作史上、最大の難物といえるね。
(ちょっと大袈裟か。(笑))

シートとリア・カウルはキットのパーツを利用した。
カウルの特徴的なエグリがないので、糸鋸で切りだし
裏返しに接着し直して、パテで埋めてと、まあそれなりに
簡単にできた。


しかしタンクは大変だあ。
ベースプレートはキットのものを使い、その上にプラ板の
箱作り。これがなかなか形にならない。
イモラタンクは非常に特徴的な形状をしており、見ると
すぐイモラだと分かるんだが、作ってみるとその3次元
的ラインは非常に複雑で、なかなかイモラ・タンクに
見えない。
削って足して削って足して削って足して削って足して・・・。
ある程度のところで諦めて次へ進まざるを得ないね。


FRPの透明窓は、最初からクリアパーツを別加工して
嵌め込むことに決めていた。
バアキュームで透明エンビを成形することも考えたが、
原型を作る厄介さと、中間の段差(くびれ)がバキューム
成形ではうまくいかないだろうと、早々に放棄。

窓はエンビ板ではクリアさにいまいち欠けると思ったので
何かのパッケージに使われていたアクリルの厚板(2mm程度)
を切りだし、熱を加えて、出来上がったタンクに押し当て
それなりのカーブに曲げてやる。
タンクをアクリルの幅に合わせて切り取り、そこに出来
上がった窓を埋め込んで接着。全体をなだらかなラインに
整形していく。

窓の中を箱状にしてオレンジに着色した液体を入れて
ガソリンが入っているように見せたらいいだろうな、
なんて、ちらっと考えたが、面倒くさいので諦め。(苦笑)
中からクリアオレンジで着色して、終わり。

下は塗装準備の整った大物パーツ。
タンクに貼ったテープは窓の幅だよ。
果たして例のシルバー・フレーク塗装は可能なのだろうか。


実車を見たという鳥取の松永さん(不老隊元隊長)は 
「銀のフレークが一つ一つ見える程のラメ塗装で、あれは吹き付け 
ではなく、流し塗装です」なんていうぐらいの 
凄いギラギラ仕上がりらしいので、どうすればそうなるか 
見当も付かない。
銀粉やらラメやら沢山買い込んで来たんだが・・・・。

結果はこの写真。
全くフレーク塗装にはなっていないよね。
銀粉を混ぜ過ぎると0.3mmノズルでは詰まって出ないので
これが限度。
うーん、弱ったな。

何度も何度もトライしてやっと辿り着いたのが、下の写真。
結構いいだろう。(笑)
この方法は、タンク全体をクリア掛けし、乾かないうちに
銀粉を粉状態で振り掛ける。
デコボコ一切気にせず、振って振って、振り掛けて・・。
乾いたら余計な銀粉を払い落とす。

ご注意:銀粉てえのはアルミの微粉末です。
顕微鏡で見るとえらく尖った鋭角状の立方体。
吸い込むと肺の粘膜を傷つけ、肺癌の原因にもなるそう
だから、この方法を試そうなんて人はくれぐれも要注意。
私は相当吸い込んだよ。

それからが秘策。ウレタン・クリアを厚吹きするんだな。
たまたま、実際の車に使った2液式のウレタンが残って
いたので、これを吹き付けたら、見事銀のフレークは
そのまま残って、いい感じになったなあ。
普通のクリアでは、銀粉が溶け出して元の木阿弥だから
絶対駄目よ。これもテスト済み。
そして乾いたら耐水ペーパーで表面の凹凸を削りだして
磨き上げるとこんな状態。

ああ、なんとかイモラ・レーサーらしくなったぞ。


話しは前後するが、
デカールも作ったよ。

カウルがなければ
ゼッケンも大きな
DUCATIもいらない
んだけれど、まあ
作ってあっても
邪魔にはならないから
作っておきました。
いつかカウルを作る
時は役立つかな。
しそしてバッテリーとキル・スイッチを作ったなあ。
バッテリーは透明プラ板を箱状にして、中に真鍮の積層板を12枚、
かどうかは忘れたが、それらしく入れて。
このレース当時のバッテリーはYUASAではない筈なんだけど資料
がないから、仕方なくYUASA。
キル・スイッチも結構目立つ場所にあって、ON OFFなんて書いて
あるので、それらしくね。

LAST ASSEMBLY (最終組み上げ)
そんなこんなで、組み上げて
みた。
まだ大きなパーツではエクゾー
スト、タンク、シートなど。
細かい部品ではバッテリーや
タコメータなどの組み上げが
残っているが、まあ ほぼ完成
は見えてきた、というところ
だね。

一応これが最終の写真だが、
この状態で見てもタイヤが
きちんと正円になっていない
のが分かって厭だねえ。

駆け足で半年分の作業を見て
戴いた訳なんだが、いかが
だったろう。
多少なりともお楽しみ下され
ば誠に幸いです。

2006年3月27日完成済み
Garage1に収納しました。