ビアンキ フレッチャ・セレステ 350cc キット:プロター 1/9
最初の製作報告  2004年5月10日
Madが 久しぶりにプロターを作る
Mad SUGITA氏から「次回作をプロターのビアンキにしました」と話しがあった
のはBSA C15が完成したあたりでしょうか。
はあビアンキね。
私キット持ってますし、よいキットとも聞いています。また実車は「空色の矢」と
称された名車であることも知ってますが、私ァいまいち興味がない。

最近面白いなと思っているのは、私とMadの興味の対象バイクが随分違うこと。
私は私の子供時代から青春にかけて憧れた、あるいは身近に見たバイクが興味の
中心ですが、彼はもっと古く、20年代、30年代の車にたとえればヴィンテージ期
やそれ以前の
ヴェテラン期あたりのバイクに非常に興味を持っているようです。
彼の場合はバイクに対する思い入れよりは、純粋にメカニカルな美しさや機械としての魅力に強く魅せられているように感じます。
二人の興味対象バイクが同じでないところは、とても面白く愉しいです。同じキットの競作はちょっと辛いものがありますからね。
ただMadの場合、残念なことはその年代のバイクの模型キットは殆どないことでしょう。
おそらく近い将来、彼はスクラッチという手法でその時代の素晴らしいバイクを再現してくれるだろうと思います。
この1928年製のイタリアン・ヴィンテージがその習作となるよう見守っていきましょう。   Kim's House Garage Owner

製作開始にあたってのエピソード
前作BSA C15の製作で、元キットがしっかりしていれば楽に製作できると実感したため、次作にはビッグスケールの習作として
プロターのビアンキを選びました。しっかりしているキットとしてプロター?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
このビアンキは素晴らしいキットのようです。
デッサンもそれなり(?)に正確で、随所のディテールは申し分なく、フレームからエンジンそしてリムに至るまでボルト留め、という
内容です。
しかし、このまま製作しては誰が作っても同じようなビアンキができてしまうという危惧(笑)と、バカでかいタンクは自分の好み
ではないという理由から、薄い箱型タンク仕様に改造してみようと思いました。
キットの説明書にも小さく写真がのっているモデルです。

フレームの修正
早速資料集めに精を出しましたが、なんと収集できた
写真はたったの5枚。
しかも当然すべてモノクロで写りも鮮明ではありません。
今から70年以上前のバイクですから仕方ありませんが、
修正したいフレーム形状(タンク上部)が分かる写真は
一枚もありません。

数枚の写真をオーナー宅に持ち込み、集まっていた
スワッシュのメンバーにもお願いして形状を推測して
もらいました。
イタリア人の気分になって作るのがよい、という
アドバイスとは言えないアドバイス(笑)のもと、
早速製作してみましたが(上の写真)、
これではタンク
キャップやサブのオイルタンクがつきそうにありません。

そこで実物を知っている人もいないだろうと適当に修正
してしましました。
写真と比較してもなかなか良くなったと自己満足。
(中段・左下の写真)
エンジンのフィンを削る 
エンジンフィンはもともと積層する造りに 
なっていますが 
シリンダー部分を細くしフィンのエッジを 
0.2mm弱程度まで削っています。
リム・フェンダー・タンク 
キットのリムはブ厚すぎますので今回も自作。

タイヤもそうとう細いのですが 
この時代のものはバイクというよりは 
エンジンを載せた自転車という感じです。
第2回目の製作報告  2004年6月13日
忙しい中での模型製作
私もMadも妙に忙しくて模型に集中する時間が中々とれません。(私は生来のサボり癖も加わって進まないんですが)
そんな中少しずつ進めてくれたビアンキのディティールアップ写真が届きました。
彼はどんなに忙しくても手を抜かず繊細に美しく仕上げていくんですねえ。感心しますよ。
チェーンの試行錯誤 
コスモズのチェーンは「かしめる」のがうまく出来ないため(強度に不安が
あります)0.4mmの虫ピンを通し、反対側は内径0.42mmの真鍮パイプを
細くきって留めるという方法にしました。鉄やすりで真鍮パイプと虫ピンを
同時に削ってしまえば接着剤なしでも外れることがありません。
手間がかかりますが、外見も良い感じに仕上がりそうです。
(左写真)また隙間パーツが気になっていましたので、0.9mm真鍮パイプを
ローラーとして使用してみました。雰囲気は相当よくなったのですがこれを
全部組むだけの根気があるかどうかですね…。
省吾さんのCB750や、AKIRA(KE125)さんのHPを見ていなかったら絶対に
やっていないことでしょうけれど、やれるだけやってみようと思っています。
(下写真)チェーンはほぼ同じ幅でローラー部分を切ったつもりですが、仮に
組もうとしてみただけで、0.1mm程度の差が大きく影響することを発見。
暇ができましたらやり直します。

F.フォーク 
フロントは幅を詰めました
が折角キットがボルト留め
になっていますのでネジ山を
埋め込みナットで各部を留め
られるようにしてあります。
(別に可動させる必要もない
のですが…)
シートの骨組み 
シートの骨組みはキットの 
プラ部分を加工しましたが 
バネを実車のように組める 
作りは素晴らしいものが 
あります。
シート部分はキットのゴム 
パーツの裏にエポキシパテ 
を詰めて形をとりました。
ゴムパーツを剥がした後 
皮を張る予定です。
清潔感
私のあの中古風実感仕上と
比較してMadの作風はまさに
清潔感漂うといった清らかな
イメージがあります。
新車のようなあるいはそれ
以上の神々しいまでの美しさ
にはただただ感心します。

さあ次回の報告を楽しみに待ち
ましょう。

K.H.G.Owner
最新画像(2004.6.23)
私が上の文章で清潔感と書きまし
たら、Madから今回はそんなに綺麗
ではない、とお断りのメールととも
に最新画像が来ました。
充分清潔のように見えますが、私の
作風と比べるのが間違ってるんで
しょうかね。
ビアンキの実物はそれほど清潔
にはできていません。
ハンダはもちろん瞬間接着剤も
余り効かない素材の不明な金属
フレームに穴をあけるなどして
無理やり加工しているためです。
あれからハンドル用のステーを
つけてみましたがこれも綺麗では
ありません。
しかも全体のシルエットが思って
いたようにはならず製作意欲も
落ち込み気味です。
80年も前の自転車バイクなので、
誰も知らないだろうし、こんな
ものだ…と割り切って作るしか
ないようです。

昨日はハンドルバーとエキパイを
つけてみてやっと全体像が見えて
きた感じです。
エキパイなどは実車より細めですが
タイヤも細いので、ヴィンテージの
華奢な雰囲気ということにして
勝手に自分の気に入るバランスに
してしまいました。

後は簡単に仕上がりそうに思え
ますが、いつもここからが長く
かかります。

第3回目の製作報告  2004年9月28日
お待ちかね!
ああやっとマッドから進行報告が届きました。皆様大変長らくお待たせしました。
今回のテーマは「こだわり」。徹底した細部への拘りがMADそのものですよ。
バネ 
前回の報告から、3ヶ月以上も滞っていました。
資料が少ないため実車のイメージが沸かず製作意欲が低下していた上、
何かと忙しかったからですが、オーナーのKZに触発されて再開です。
一日考えて、やっとバネを作り直しました。
ガーダーフォーク用のバネは、模型では負荷がかかりませんので 
1mmアルミ丸棒を鉛筆の先に合わせて巻いて円錐を作り、
反対部分にあたるところも同様に作り、無理やり1本に見えるようにしました。
アルミは柔らかいので、バネを回転させながら隙間を整え、
膨らみを調整することができます。
少々歪んでいますが、目立たないところなのでこの程度の仕上がりで十分なようです。
細すぎたシートのバネも作り直してみました。
小さいバネはよれやすいので 
真鍮線で作り、ペンチで調整します。

ブレーキ 
ブレーキは集めた写真の全てに 
違うものがついていたため、見栄えのするものを 
採用することにしました。
フィンがあるのに穴も沢山開いている理由と仕組みが 
分からないままアルミ板で製作。
黒染め液に浸してみましたが、接着剤は剥がれるは、
 
エンジン・パーツ&チェンジ・レバー 
逆にギアボックスの細かい部品は、黒染め液に浸した後に
コンパウンドで磨いたところ、エッジだけが輝き重々しい金属感が
出てきました。
実物ではほとんど見えませんがクラッチの原始的な構造再現に拘り、
チェンジレバーも可動部分はそのまま再現。
アルミ板、洋白板、各種金属パイプを総動員しての製作です。
ほんのちょっとした部品なのに製作だけは大掛かりです。
レバーの握りも旋盤から削り出してありますが今回はマグネトーの
キャップ、オイルパイプのコック部分など小さな部品も円形で
あればほとんど旋盤から挽き出しています。
プッシュロッドもアルミ棒からの削り出しの一体整形です。

エンジンほぼ完成 
エンジンは各種パイプを巡らせて
ほぼ完成。
オイルラインの取回しも様々で、
実車ではどのように循環しているのか
分かりにくいのですが、これも適当に
配管しました。
コスモズのチェーンは仮組み用に
 
嵌めてあるだけで、挑戦しかけで
とまっているローラーの改良は、
まだ完成していません。
ギアとともに完成すれば、難関突破
でしょうか。
第4回目の製作報告  2004年10月20日
今回は大注目だ!
マッドからの進行報告が貯まりましたのでアップしました。
今回はコスモズの組み立て式チェーンについての報告が大注目です。
このチェーンは1/9決定版ともいうべきものなので、このSHOGO・MAD方式で組み上げたら最高の仕上がりになるでしょう。
ひょっとするとこの方式は、完成したモノを見たことがない(笑)という1/12アクテシオンのチェーン組み立てにも活用できるかもしれません。
コスモズ・チェーンのローラーの改良 
SHOGOさんが誰かから聞いたというローラーの幅を揃える方法を
実験してみました。
コスモズのエッチングが約0.3mm厚ですので、ローラーを2倍の
0.6mmで作ることにします。
そこで0.6mmのアルミ板に1mmのピンバイスでいくつか穴をあけ、
そこに0.7〜1mm程度の幅に適当に切った真鍮パイプを埋め込んで
いきます。(写真上段)?
もぐら叩きのような感じですが、出っ張った部分だけをやすりで
削ります。(写真中段)
そうするとほぼ0.6mm幅に揃った真鍮ローラーがころころと
出来上がりました。(写真下段)

今まで作ったチェーンをバラして作り直しますので一つ一つ組んで
いきますが (最初からやればもっと楽だったのですが)慣れれば
案外短い時間で組めそうです。
今日は途中で止めましたがちょっとだけでも 
自作のギアに嵌め込むと …ピタリ! 
吸い付くようにギアにはまって爽快です。
ローラーが0.9mmで中を通る虫ピンが0.5mmですから 
遊びがあるため、ギアの歯が少々均等でなくても 
勝手に調整されてうまくはまる、という仕組みです。
後は根気の勝負で、チェーンを組むだけです。
プライマリーギア 
プライマリー・ギアとチェーン
が組み合わさりました。
スムースな可動を目指すとギア
の精度がかなり高くなくては
ならないようです。
また、ギア間の距離が近いもの
ですから、テンションをかけた
状態に調整するにも一苦労です。
このチェーンは伸びると聞きま
したので、今後が心配です。

ギアはドライヴ側は、旋盤で
アルミ棒から作ったものです。
歯とセンター部分に段差を設け
てあるので、チェーンの厚みが
気になりません。
しかし、ドリヴン側は大きすぎて、削り出しのもに加工することに失敗しました。0.6mmアルミ板で作ってありますが、薄さが気になります。
内側に円盤を貼り付けて誤魔化すしかないようです。
プライマリーだけで、こんなに時間がかかってしまったのですからリア側は一体いつ完成するのか心配です…
回転可能になった段階で遊ばさせていましたら、チェーンが何回も切れてしまいました。可動させるためには、チェーンのつなぎ目の強度も
必要なようです。
ハンドル・パーツ 
根気だけが勝負のチェーン作成をちょっと休止し、
ハンドルパーツを作ってみました。
レバー類はいつもと同様ですが今回は握りの部分が凝っています。
アルミ棒で作ったハンドルバーの両端を 
中央が膨らんだ握りの形に削り込み、その周りに 
1mm程度の幅にきった本皮を巻きました。
レバー類は一応全て可動します。
チェーンやギアチェンジバーなど 
別に可動に拘っているわけではありませんが 
結果的にそうなってしまいました。
フロントフォーク取り付け部分も、ぼったりとしていて
何となく気に入らないままでいたのですが再修正し、
新たにネジを埋め込んだボルト留め方式にしました。  
その他のこまごました部品に手がかからず塗装が上手くいけば、
近日中に完成するかもしれません。
仕上がりで悩む 
塗装をして仮組みしてみました。
この写真では、光やコントラスト
の関係でそれなりに見えるかも
しれませんが、実物はぼってり
とした青一色のつまらないものに
なってしまいました。
フレームからタンク・フェンダー
まで全て同じだからいけないの
でしょうか?
(写真では陰影・濃淡が出て
しまっています)
空色ではなく青が濃すぎるから
ダメなのでしょうか??
写真ではコントラストをちょっと
つけると綺麗に見えますので
HP用としては、許せないでも
ありませんが、気に入りません。
タンク、フェンダーだけを
薄い色にするか、フレームは
黒にするか、改善した方が
よさそうです。
なんともガッカリです。

その当時のビアンキレーサーの
カラー写真は相当淡い水色ですが
これくらいの方がよかったのかも
しれません。
とりあえず、タンクだけを塗り直し
てみようと思っています。
後はデカールなどで少しは雰囲気
も変わるかと期待するばかりです。

ということで
マッドも人並みに悩むことが
わかりましたね。
完成を期待しましょう。
SHOGOさんの助け船
「いろ」で悩めるMAD SugitaにSHOGOさんから
嬉しい手助けがあったようです。
持つべきものは友達ですねえ。
カラーチャート 
色に関しては、省吾さんが色見本を作って送ってくれました。
(こういうことを自分で先にやれれば随分違うのでしょうね)
左下のものが実車に近いものですが 
やはり、本物の色合いが一番しっくりいくようです。
模型として目の前にあるとインパクトは薄れそうに思いますが 
今の青は逆にインパクトがありすぎることと 
色が濃くて影の部分も一緒に見えるために 
写真では綺麗に見えても 
実物はのっぺりと見えるのかもしれないと思いました。
昨夜、タンクだけ薄く塗りなおしたのですが 
色見本の右上のようになってしまい、これも妙です。
色も実車に忠実に!がやはり一番と改めて思いました。

第5回目の製作報告  2004年12月7日
完成直前 
塗装に悩んでいたマッドから 
昨日やっと完成直前画像が 
送られてきました。
あと少しで完成ですね。
プロターとは思えない(笑)
美しい全体感と素晴らしい 
細部工作とがマッチした 
見事な作品に仕上がっています。
完成画像をお楽しみに。


昨夜、やっとエキパイ以外は 
全てつけ終わりました。
スタンドを作ってエキパイを 
つければ完成です。
また、エキパイをつけると 
右のエンジン下部が隠れて 
しまいますので写真を撮って 
みました。

いつものことながら写真にしてみると、
そこそこの完成度に見えます。
デカールをつけると全体の雰囲気ががらっと
変わるのですが、そこまでのイメージが全く
できていないため、いつも完成してみると
「なかなかいいじゃないか…(笑)」と
思えるのでしょう。
今回もそれなりにそう思えましたので満足です。
デカールだけではなく、配線でも相当雰囲気が
出るようです。
ハンドル周辺はかなり気に入った仕上がりに
なりました。
2004年12月14日完成
Garage2に収納済み